後期臨床研修カリキュラム

平成31年度 後期研修医・専門医プログラムについて

1. 本専門研修プログラムの理念と目的

耳鼻咽喉科は聴覚、平衡覚、嗅覚、味覚、呼吸、嚥下、音声、言語と多種多様の役割を持つ臓器を扱うばかりでなく、頭頸部外科としてもその使命を果たさねばならない。取り扱う疾患は内科系疾患から外科系疾患まで多岐にわたり、多くの知識と医療技術の習得が必要である。本プログラムはすぐれた耳鼻咽喉科専門医の養成を図り、ひいては頭頸部領域の診療において国民医療の向上に貢献することを目的としている。また医師として人格の涵養に努め、科学的思考、課題解決型学習、生涯学習の姿勢を身に着けることを目指す。

2. 聖マリアンナ医科大学耳鼻咽喉科学教室

聖マリアンナ医科大学耳鼻咽喉科学教室は、平成28年度に開講45年を迎えた。現在は肥塚泉教授を中心に、これまで培われた伝統と最新の知見を元に診療、研究、教育に励んでいる。私たち聖マリアンナ医科大学耳鼻咽喉科は、まず「オールマイティ」である、ということを臨床面での特徴としている。めまいやアレルギー性鼻炎、副鼻腔炎や喉頭癌など、耳鼻咽喉科領域全般にわたって、高い診療レベルを有していると私どもは自負している。研究に関しては、「見えないものを見る」ということを研究テーマにしている。聴覚や平衡覚を司っている“内耳”は小さな臓器で、その内部構造は最新のCTやMRIを使ってもその詳細な構造を映し出すことができない。内耳が原因で起こるメニエール病をMRIで診断しようというのが教室の大きなテーマのひとつである。三半規管や耳石器が刺激を受けると、それに対応して眼球が動く(眼振)。この目の動きを、コンピュータを用いて定量的に解析することによって、患者が目の前で訴えているめまいの原因が、内耳のどの部分の病変で起こっているのかがわかる。聖マリアンナ医科大学耳鼻咽喉科では、私どもの教室にしかない特殊な偏垂直軸回転検査装置(Off-Vertical Axis Rotation: OVAR)や、最新のめまい検査機器(vHITやVEMPなど)を駆使して、めまいを来した病変の部位診断をさらに確実なものにできるよう、日々研究を続けている。

3.複数の施設で様々な症例を経験することができる

当教室では聖マリアンナ医科大学病院(以下大学病院と略す)を専門研修基幹施設とし、付属病院である聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院(以下横浜市西部病院と略す)、川崎市立多摩病院の2施設を専門研修連携施設とし、各々が強固な連携のもとに特徴のある診療を行っている。大学病院は神奈川県川崎市に位置し、川崎市北西部では数少ない大規模な医療施設である。川崎市や近隣の横浜市、東京都稲城市、町田市などからも患者が多数来院する。地域医療の中核を担いつつ、特定機能病院として先進医療を含む高度な医療を提供している。大学病院には平衡、耳科、鼻科、咽喉頭、頭頸部腫瘍とそれぞれを専門にした指導医がおり、耳鼻咽喉科疾患を幅広くかつ専門性高く経験することができ、また希少疾患や難易度の高い手術症例も経験することができる。また、1次、2次救急を扱う夜間急患センターと3次救急を扱う救命救急センターを要しており、中耳炎や鼻出血などのprimary疾患から気道緊急まで、数多くの救急疾患も経験することができる。専門研修連携施設である横浜市西部病院、川崎市立多摩病院では耳鼻咽喉科が扱うcommon diseaseや基本的な手術手技を数多く経験することができ、また地域の中核病院としての専門医療や地域連携についてを学ぶことができる。専攻医は大学病院の専門2チーム、付属病院2施設を中心に研修施設群を4年間かけてローテートし、専門医に必要な疾患をもれることなく経験することが可能である。希望があれば他大学(東京慈恵会医科大学附属病院、神戸大学医学部附属病院)やがん専門施設への国内留学も可能である。

4.研究活動

臨床のみでなく学会発表や原著論文作成にも力を入れている。専攻医は日本耳鼻咽喉科学会あるいは日本耳鼻咽喉科学会に関連する学会において、年に1回以上発表を行い、また筆頭著者として学術雑誌に、研修中の4年間に1編以上の論文執筆・公表を行うよう指導する。大学院入学を希望した際は、大学院の入学考査に合格後、進学することができる。当科の主な研究テーマとしては、前庭代償の完成を早める独自のリハビリテーション、めまい平衡機能の客観的評価法の検討、メニエール病に対する中耳加圧治療の検討、他施設にない偏垂直軸回転検査装置(Off-Vertical Axis Rotation: OVAR)を用い、前庭動眼反射と体性感覚の関連性を検討しこれをめまいリハビリテーションに応用する研究を行っている。基礎研究としては7テスラMRIによるマウス内耳微細構造の観察や、めまいモデル動物を用いた前庭代償の分子生物学的な解析を行っている。することが可能である。希望があれば他大学(東京慈恵会医科大学附属病院、神戸大学医学部附属病院)やがん専門施設への国内留学も可能である。

5. プログラム統括責任者

プログラム統括責任者:肥塚 泉

6. 専門研修施設と概要

専門研修基幹施設 
・聖マリアンナ医科大学病院
所在地:川崎市宮前区
病床数:1208床
平成27年度年間手術件数:1280件
指導管理責任者:小森学(診療部長、耳科)
指導医:春日井滋(准教授、咽喉頭、頭頸部腫瘍)
深澤雅彦(講師、頭頸部腫瘍)
齋藤善光(講師、鼻科)

専門研修連携施設Ⅰ群
・横浜市西部病院
所在地:横浜市旭瀬谷区
病床数:518床
平成27年度年間手術件数: 198件件
指導管理責任者:岡田智幸(准教授;平衡)

・川崎市立多摩病院
所在地:川崎市多摩区
病床数:376床
平成27年度年間手術件数:212件
指導管理責任者:晝間 清(准教授;平衡、頭頸部腫瘍)
専門研修連携施設Ⅱ群
・国立病院機構横浜医療センター
・横浜総合病院
・東京労災病院

専門研修連携施設Ⅲ群
・東京慈恵会医科大学附属病院
・神戸大学医学部附属病院
・国際医療福祉大学東京ボイスセンター
・済生会川口総合病院

7.募集要項

・応募資格:
(1) 日本国の医師免許証を有する。
(2) 平成30年4月1日時点で卒後初期臨床研修を修了もしくは修了見込みの者。
(3) 一般社団法人日本耳鼻咽喉科学会の正会員である。(平成30年4月1日付で入会予定者のものを含む。)

・募集定員:5名

・待遇等:各施設の規定による。以下は聖マリアンナ医科大学に勤務の場合。
(1) 身分;任期付助教(大学院進学の場合は診療助手)
(2) 本給;200,000円/月(年1回定期昇給あり)、大学院進学時は124,500円/月
上記の他、住宅手当・家族手当・通勤手当・日当直手当を支給。
(3) 賞与;年2回支給
(4) 社会保険;日本私立学校振興・共済事業団(健康保険・共済保険)、雇用保険、労災保険

・応募期間:一次募集 平成31年8月1日から10月31日(延期の可能性あり、要問い合わせ)

・選考方法:書類審査及び面接により選考する。(面接は平成31年9月15日から10月中旬予定、詳細な日時、場所は別途通知)

・応募書類:願書、希望調査票、履歴書、医師免許証の写し、臨床研修修了書の写し

・問い合わせ先および提出先:
〒2168511 神奈川県川崎市宮前区菅生2-16-1
聖マリアンナ医科大学 耳鼻咽喉科 医局
電話:044-977-8111(代)
Fax:044-946-8748
E-mail:marianna.ent.department@gmail.com