JAPANESE SOCIETY OF INTERVENTIONAL RADIOLOGY FOR VASCULAR ANOMALIES

代表世話人挨拶

血管腫・血管奇形IVR研究会代表世話人:三村秀文

代表世話人:三村 秀文 (聖マリアンナ医科大学 放射線診断・IVR学 主任教授)

 皮下軟部組織の脈管異常(vascular anomaly)は病像の多彩性のため、形成外科、皮膚科、小児外科、放射線科、小児科をはじめとする種々の診療科で診療されているのが現状です。本症は美容的な問題のみならず四肢においては疼痛、腫大、脚長差など様々な苦痛を伴い,巨大で動静脈シャント量が多い症例では心不全を引き起こし死に至ることもあります。また二次的に出血傾向が出現することもあります。本疾患は多彩な臨床像を呈するため、本来の腫瘍性病変である血管腫(hemangioma)と先天性疾患である脈管奇形(vascular malformation) が混同され、色々な疾患名や症候群が提唱されています。1982年アメリカの形成外科医であるMullikenらが提唱した“血管腫と脈管奇形は血管内皮細胞の特徴より別の疾患である”との意見に基づいて両疾患は分類されるようになってきています。血管腫の代表である乳児血管腫(Infantile hemangioma)は生後しばらくして出現し、急激に増大して多くは生後数年で消えていきます。一方、脈管奇形はvasculogenesis(脈管形成)の異常で、生下時より出現し年齢とともに徐々に増大し消退することはないとされています。本症の診断は触診視診等の理学的所見と臨床経過に画像所見を加味して診断を行います。画像診断はMRI、超音波検査、血管造影,直接穿刺造影で行われます。近年では1996年にThe International Society for the Study of Vascular Anomalies(ISSVA)の提唱している分類が広く用いられ、この分類に従って治療方針を決定することが標準化されつつあります。治療の適応は疼痛、腫脹、潰瘍、出血、機能障害、整容的問題が中心です。治療法は外科的治療、硬化療法や塞栓術などの interventional radiology (IVR)などが行われています。それぞれの治療法は一長一短があるため、正しい診断をして、個々の症例に最も適切な治療法を選択することが重要です。そのためには血管腫・脈管奇形に対する多診療科から成る医療チームが必要です。また日本IVR 学会、血管腫・血管奇形IVR研究会を中心に形成外科学会等関連各科とも協力して,日本人に応じた診断と治療を標準化し普及させたいと考えています。

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