総合周産期母子医療センターについて

総合周産期母子医療センターとは

「総合周産期母子医療センターの役割」
 安心して安全な出産をしていただくために必要な分娩受け入れ施設が年々減少傾向にあることは、マスコミ報道などで既にご存知のことと思います。また、複雑化する社会背景や出産年齢の高齢化あるいは高度生殖医療技術の進歩などから、少子化が社会問題となる一方でさまざまなハイリスク妊娠・分娩が増え、その結果として早産、低出生体重児の出生数は逆に増加しているのが現状です。
 このような中で当院は、国・県・市からの要請を受けて2010年3月から総合周産期母子医療センター(名称は未定)としての役割を担うことになりました。総合周産期母子医療センターとは、母体や胎児・新生児に生じがちな突発的な事態に24時間体制で対応し、高度な専門医療を提供する母子のための救命救急センターです。
 当院はこれまで川崎地区の地域周産期センターとして、また神奈川県の周産期救急システムのなかの基幹病院の一つとして、高度新生児医療センターともども正常妊娠・新生児の管理だけではなく、近隣の医療機関で発生した様々な異常例をお引き受けするよう努力してまいりました。〝周産期医療の危機〟が叫ばれている中、一人でも多くのお母さんが安心してより良い出産、子育てをしていただくことに気概を持ち、今後とも最高の技術をもって最善の〝心ある医療〟を目指して努力いたします。

産科部門紹介

今回、総合周産期母子医療センター化することで、産科病棟では

  1. 母体・胎児の異常に対し、集中的に監視・治療を行うための専門病床:MFICU(母体胎児集中治療室)が6床設けられました。
  2. 出生前胎児の監視システム(超音波診断画像ファイリング・胎児心拍モニタリング等)のコンピューター制御・管理が行えます。
  3. 分娩室が新しくなり、様々な緊急事態により対応しやすいよう、整備されました。併せて産科一般病棟も整備され、43床(個室4床)で母体の入院に対応していきます。

新生児科部門紹介

当施設は、従来から川崎市および神奈川県の周産期医療の一翼を担っておりましたが、平成18年10月に高度新生児医療センターが発足して以来、現在では年間350-400名のNICU入院があり、対象疾患も超および極低出生体重児、新生児仮死、先天性心疾患、先天奇形症候群など他科と連携し、あらゆる新生児患者を受け入れております。川崎市唯一の基幹病院として(川崎市は政令指定都市中9番目の人口を有し、人口1000人当たりの出生数は日本一)、附属病院の一つである聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院を含む他の周産期基幹施設と連携しながら神奈川県の周産期医療の中核の一つとして機能しています。平成22年3月からは総合周産期母子医療センター(新生児ベッド36床、うち、NICU(新生児集中治療病床)12床)として開設し、その機能がより強化されます。病棟面積は現在の2倍弱となり、現在定着している電子カルテシステムや最新の医療機器も装備されます。またNICU専属の臨床心理士が現在もすでに常駐しており家族の心理的サポートを行っています。産科病棟ではnear term以降の、原則出生直後からの完全母子同室と母乳育児支援を実践しております。
 小児科専門医、新生児専門医、小児外科専門医取得のためには最適な施設であり、その指導・育成にも力を入れています。また学会、研究会などへの参加を積極的に奨励しており、その際に首都圏広域へのアクセスが良い立地条件も魅力の一つです。新たな施設で、新たなチャレンジを希望される熱意ある医師を心より歓迎申し上げます。是非、お気軽にお問い合わせください。

小児外科部門紹介

 当教室は昭和48年4月、第三外科学教室が誕生し、小児外科、心臓血管外科、胸部外科と並んで一診療区分を分担することから始まり、今までの25年間で643例の新生児外科症例の治療をおこないました。また、生後間もなくの新生児から、乳児をへて思春期までの長い成育期間にある子ども達の外科治療を担当しています。当病院には新生児科、小児科など直接患児を診療する科の医師と、手術を支援する麻酔科、合併する様々な疾患を扱う小児泌尿器外科、心臓外科、脳神経外科、眼科、整形外科、形成外科、呼吸器外科などの専門医が在籍します。当病院では診断部門も各種画像診断部や内視鏡センターあるいは病理診断部など、それぞれ小児疾患をカバーする専門家の支援が得られ、お子様方は適切な診療を受けることができます。
 主な新生児は全小児外科入院患児の6.5%に相当し、男女比1.4:1でありました。症例の約50%は出生当日に入院または発症し、57%が新生児期(日齢<30)に手術を受けております。新生児外科主要10疾患中では、腸閉鎖・狭窄症が最多で、直腸肛門奇形がこれに次いで多かったです。5年間毎の調査期間別死亡率は、当初の20%から直近5年間の5.6%まで有意に低下しております(p<0.05)。当施設における外科的新生児の予後は調査期間毎に明らかに改善しましたが、疾患別には横隔膜ヘルニア、腹壁異常および消化管穿孔の死亡率が依然高く、その要因は外科的新生児における極・超低出生体重児の増加や、染色体異常や重症奇形の合併、さらには出生前診断された重症例の増加などが関与したと考えられました。これらの患児の治療向上のためにも総合周産母子医療センターが当院には必要であり、各診療科協力のもと運営できればと考えております。

施設紹介

産科施設

MFICU(母体胎児集中治療室) 6床
産科一般病床(北病棟内) 43床 (うち個室4床)

新生児科施設

NICU(新生児集中治療病床) 12床
GCU(新生児一般病床) 24床
小児科病床(北病棟内) 7床

主な対象疾患

<母体・胎児管理を要する疾患>
妊娠高血圧症候群、前置胎盤、常位胎盤早期剥離、母体合併症妊娠、産褥(弛緩)出血、切迫流早産、前期破水、多胎妊娠、子宮内胎児発育遅延、胎児仮死、羊水過多および過少、その他ハイリスク妊娠・出産の管理
<新生児管理を要する疾患>
切迫早産、前期破水、多胎妊娠、子宮内胎児発育遅延、胎児、新生児仮死、早産児、低出生体重児、胎児水腫、双胎間輸血症候群、先天性心疾患、新生児呼吸障害、新生児外科疾患など