聖マリアンナ医科大学 SCHOOL GUIDEBOOK 2020
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臨床腫瘍学 教授 大学病院腫瘍内科部長 大学病院腫瘍センター センター長 東大の理科二類にいたとき、「白い巨塔」のドラマを見たのがきっかけです。その作品はふたりの医師の生き様を描いているのですが、ひとりは内科医で昔ながらの「良いお医者さん」。患者のそばに立ち、患者の手を握り、目の前にあることを研究に結びつけていきます。もうひとりは外科医として非常に優秀なのですが、医学以外の環境に惑わされ本来の道を失っていきます。彼は最後にがんで亡くなるのですが、死の直前に改心して、医師という仕事45先生が医師を目指そうと思われたきっかけは何ですか?がん治療を専門にした理由は?Doctor 2中島貴子(なかじまたかこ) 2010年、本学に臨床腫瘍学が設立されると同時に講師として入職し、新しい講座の土台固めに勤しんできた。2016年に教授就任、大学病院腫瘍内科部長・腫瘍センター長も務めている。地域に根ざした最善・最適ながん診療、そして教育・研究…。 国立がんセンター中央病院でのレジデント時代、抗がん剤治療が遅れていた日本の現状を知り、引っ張っていく人が一人でも多くならないといけないと思い、抗がん剤と緩和医療の専門家としての道を選んだ。「世界とともに“がん”への飽くなき挑戦を」がモットーである。の素晴らしさ、本来あるべき姿を理解します。 私はそのドラマに感動して、医師という仕事への興味が急に湧いてきました。「科学的な興味と患者さんに起こることを連結させるのが医師の仕事なのだ」「二人合わせたら最高の医者なのに」と思いました。それで、横浜市立大学医学部を受験しなおしたのです。 総合内科医として勤務していたとき、がん診断の難しさを知りました。がんについてより深く学びたくなり、国立がんセンター中央病院のレジデントとなったのです。その後、抗がん剤治療部門をローテーションしている際、指導医から「日本には抗がん剤治療の専門家が必要だ。次世代を育てるためにも、抗がん剤治療の専門家になったらどうか?」と勧められ、抗がん剤と緩和医療を専門とするようになりました。  臨床腫瘍学では、腫瘍、とくに悪性腫瘍に関することに全て対応します。手術と放射線治療とを統合しながら、主に抗がん剤と緩和治療を中心とした内科的な治療を行っているので、病院内では「腫瘍内科」と名乗っています。抗がん剤は、手術をして治る可能性のある患者さんの術前術後に使うケースも増えていますが、圧倒的に多いのは治らない患者さんに対してです。残りの人生をどうやって過ごすかというときに、時間の余裕を持たせたり、QOLを保つ、また上げるための治療なのです。やっていることは抗がん剤の投与です「白い巨塔」に感動して医師への道を目指す世界とともに、がんへの飽くなき挑戦を中島 貴子

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