聖マリアンナ医科大学 SCHOOL GUIDEBOOK 2020
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Top runner医学研究の最前線で活躍し、地域医療の充実のために尽力する本学の教員たち。その姿と熱き想いをお送りします。大学院 先端医療開発学 教授  難病治療研究センター 病因・病態解析部門 部門長43先生が医師を目指そうと思われたきっかけは何ですか?先生が研究されているHTLV-1関連脊髄症(HAM)は、どのような病気ですか? 医療者として患者さんの命を救ったり、病気を治したりする姿に憧れを持っていたのだと思います。それが原点です。祖父が亡くなった中学生の頃、それもきっかけになって漠然とですが、医師を目指すようになっていました。病気にかかったときに見てもらった先生方など、みんなが尊敬して頼っている、町のお医者さんの姿が大きかったと思います。 世界には原因不明で治療が難しい「希少難病」が、未だ数千種類も存在するといわれています。私が研究している「神経難病HAM(HTLV-1関連脊髄症)」も希少難病のひとつです。HTLV-1というウイルスが原因で起こる病気で、両足の麻痺やしびれ、痛み、排尿排便異常をきたし、進行すると車いす生活や寝たきりになってしまう場合もあります。現在、日本には約3,600人、再発性多発軟骨炎に至っては約400人しかいない難病なのです。 希少難病は患者さんの数が少なく、日本全国に散在しています。そのため、新薬の開発を進めようとしても、臨床情報や検査情報が集まりにくいのです。それが新薬の開発のネックになっていました。 私が2007年に関東で初めてのHAM専門外来を難病治療研究センターに開設したのは、患者さんが全国から集まり、臨床情報や検査情報を蓄積できるようになるからです。 また、薬の開発には生体試料が非常に重要ですが、患者さんから血液や検体をいただいて研究することもできます。 希少難病は患者さんの数が少ないので、非常に重要な検査でも医療保険で行うことができません。医療保険で承認されるには臨「町のお医者さん」へのあこがれが原点患者さんの期待に応える希少難病(HAM)の新薬開発山野 嘉久

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