来院・入院の方

聖マリアンナのチーム医療

AYA支援チーム


AYA支援チームとは

 AYA世代とはAdolescent and Young Adult(思春期および若年成人)の略で、15歳から39歳くらいまでの世代を指します。がん患者さんのなかでもAYA世代のがん患者さんは、他の世代にはみられない特有の悩み(学業や進学、就職、恋愛や結婚、妊娠・出産、ご家族のことなど)を多く抱えていらっしゃいます。しかし中高年以降のがんに比べ患者数が少ないことや希少がんが多いことなどから、AYA世代のがん患者さんの診療や支援の体制が十分に整っている医療施設は非常に少ないのが現状です。
 そこで2018年に閣議決定された第3期がん対策推進基本計画の中に、国が取り組むべき施策のひとつとして「AYA世代のがん患者に対する支援体制の構築」が掲げられました。これを受け、当院では2018年に腫瘍センター内にAYA部会を設置し、2019年1月には支援の実働部隊である「AYA支援チーム」を発足しました。
 チーム自体はまだ発足したばかりですが、当院では2010年に「がん・生殖医療外来」を開設しており産婦人科が中心となってがん患者さんの妊孕性1)温存治療を行っています。当院はこの分野においては全国の医療施設のトップランナーであり、大学病院ならではの多様な診療部門や職種にて対応しています。また、全国のAYA世代がん支援に関する事業や研究会2)に中心的メンバーとして参加しており、他施設とも支援のあり方を共有しながら研鑽を積んでいます。
 チーム一丸となってAYA世代のがん患者さんやご家族に寄り添い、悩みや困難をともに解決していきたいと思っております。

1)妊孕性:妊娠する能力のこと。抗がん剤や放射線など、がんの治療により低下、喪失が懸念されることがあります(治療の種類により異なります)。
当院HP産婦人科専門外来https://www.marianna-u.ac.jp/hospital/kanja/sinryou/shinryouka_23/
2)AYA世代のがん支援に関する事業や研究会
「厚労科研がん対策推進総合研究事業「思春期・若年成人(AYA)世代がん患者の包括的ケア提供体制の構築に関する研究」班(清水班)」
「一般社団法人AYAがんの医療と支援のあり方研究会(通称AYA研)」
AYA研HP https://aya-ken.jp/【外部リンク】
全国AYAがん支援チームネットワーク https://ayateam.jp/【外部リンク】


チームの構成メンバーとその役割

AYA部会 部会長 鈴木直(産婦人科学教授)
AYA部会 副部会長 洞下由記(産婦人科学医師) 秋山恭子(乳腺・内分泌外科学医師)

職種 役割 その他
医師

AYA世代がんの治療や、主たる診療科の医師との連携を行います。

腫瘍内科、産婦人科、乳腺・内分泌外科、小児科、小児外科、脳神経外科、神経精神科の医師がチームに参加しています。がんの治療による晩期合併症3)などに対しては、他の診療科への依頼も随時行います(心機能障害や発育障害など)。

看護師

AYA世代がん患者さんの様々な悩みを包括的に支援します。

がんや緩和ケア領域の認定看護師、不妊症の認定看護師がチームに参加しています。

薬剤師

主に、AYA世代がんの薬物療法やその副作用、対処法などについて、説明や教育を行います。

腫瘍センターや小児、婦人科、乳腺病棟にてAYA世代がんの薬物療法に携わる薬剤師がチームに参加しています。
臨床心理士

AYA世代がん患者さんのカウンセリングなどを行います。

緩和ケアチームの臨床心理士が兼任いたします。
ソーシャルワーカー

就学、就労、ご家族に関することなどの支援について相談を承ります。ピアサポートや患者会などの情報の提供も行います。

がん相談支援センターのソーシャルワーカーおよびメディカルサポートセンターでがん領域や小児を担当しているソーシャルワーカーがチームに参加しています。
遺伝カウンセラー

遺伝性のがん患者さん、遺伝性のがんが心配な患者さんのカウンセリングを行います。

遺伝診療部の遺伝カウンセラーがチームに参加しています。
栄養士

がん治療中、治療後の食事や栄養についてアドバイスを行います。

小児病棟や緩和ケアチームの栄養士がチームに参加しています。
事務

チーム運営に関する各種事務に従事しています。

 

2019年4月現在、計31名のコアメンバーで活動を行っています。

3)晩期合併症:がんの治療に関連する合併症のうち、治療が終了してから発症、または治療終了後も続くものをさします。二次がん、ホルモン異常(発育障害、不妊など)、臓器障害(心機能障害、腎機能障害など)、骨粗鬆症などがあります。

活動内容

①当院に通院/入院中の患者さんの支援
当院に通院または入院中のAYA世代のがん患者さんを対象に支援を行います。
AYA世代のがん患者さんの主治医(担当医)から、もしくは患者さんおよびそのご家族からのチームへの相談依頼をお受けし、困りごと、悩みなどを伺います。チームには様々な職種のメンバーが在籍していますので、相談内容に応じ、適切なメンバーにて対応させていただきます。また、入院中のAYA世代がんの患者さんに関しては緩和ケアチームと連携し、患者さんの年齢や背景に応じた支援を行います。
 相談内容は、妊孕性、就学、就労、移行期医療(患者さんの成長に伴い小児科から成人診療科へ移行すること)、ご家族のこと、経済的なことなどが多いですが、どのようなことでも結構です。ご相談ください。
 ご相談を希望される方は、腫瘍センターのソーシャルワーカーもしくは受診されている診療科のスタッフにお声がけください。

相談内容の例

妊孕性に関して

 がんの治療(抗がん剤や放射線治療)で将来、妊娠が難しくなるかもしれないと言われたがどうすればよいか。
 妊孕性を温存する方法にはどのようなものがあるのか。性交渉の経験がない、未婚等でも受けられる治療はあるのか。

就学に関して  現在通っている高校や大学に通い続けられるだろうか。
 大学、短大、専門学校などへの進学を考えているが、治療との両立はできるだろうか。
就労に関して  これから就職活動予定だが、がんの治療中(治療後)であることを就職先にどのように伝えればよいだろうか。
 仕事と治療の両立は可能だろうか。勤務先にどのように伝えればよいだろうか。
 がんの治療のため働き方を少し変えたい(または休職したい)が、勤務先は受け入れてくれるだろうか。復職できるだろうか。
恋愛、結婚に関すること  結婚を考えているが、相手にがんのことをどのように伝えればよいだろうか。
家族に関すること がん患者さんが10代など若年の場合
 きょうだいがまだ幼く、兄(姉)のがんについてどのように伝えればよいのか分からない。
 がんの子供にかかりきりで、他のきょうだいをあまりかまってあげることができない。

がん患者さんに小さいお子さんがいらっしゃる場合
 子供に、親のがんについてどのように伝えればよいのか分からない。伝えたら精神的に不安定にならないだろうか。

がん患者さんが成人の場合
 親にがんの治療内容や費用のことなど相談したいが、あまり心配はかけたくない。
移行期医療、晩期合併症に関すること  がん発症時は小児科で治療を受けたが、今後成人したらどの病院や診療科で定期的な診察を受ければよいのだろうか。
 晩期合併症が起こっていないかどうかは、どこで診てもらえばよいのだろうか。
その他  がんと診断されて不安。話を聞いてほしい。
 患者会やピアサポートの情報が欲しい。
 がんの治療費はどのくらいかかるのだろうか。支払えるだろうか。


②医療スタッフの教育、育成 
AYA世代がんとその支援に関する知識を備えた医療スタッフの育成を行っています。
院内外のエキスパートを講師とした、妊孕性や就労などについての勉強会や講演会を定期的に開催しています。