患者の皆さまへ

放射線治療について

放射線治療とは種々の放射線を用いてがんを治す治療法であり、手術療法、化学療法(抗癌剤)とともにがん治療の大きな柱の1つです。がん細胞の遺伝子をターゲットとして、ダメージを与え、細胞を殺すことでがんを制御します。がん周辺の正常組織の細胞も同様の影響をうけますが、がん細胞の方がより分裂が盛んなのでダメージを受けやすく、がん細胞が死滅しても正常細胞は生き残ることができ、治療法として成り立つわけです。 放射線治療は手術と同様に局所治療ですが、異なることは機能や形態をそのまま温存した治療法であることです。放射線治療は一般に必要な量を数十回に分割し、数週間かけて照射します。分割1回分の照射では目に見える反応はほとんどありませんが、それらが集積されてがんの縮小、消失という反応となり、一方では有害事象(副作用)の発生となります。 がんを制御するとともに、有害事象を十分許容できる限度におさめて治療を終了し、将来にわたり機能、形態を温存できるよう治療の計画をし、診療することが、放射線治療を担当する専門医の大事な役目です。


放射線治療の目的

・根治治療
機能、形態を温存した根本治癒をめざします。放射線単独の治療としては、早期頭頸部癌、子宮頸癌、前立腺癌などが対象になりますが、前記疾患も含めて、手術や化学療法と上手併用した集学的治療が他の多くのがんでも行われるようになり、よい成績がでています。


・緩和治療
がんが進行や転移して根治治療が困難になった場合でも、照射でがんを縮小させることや、がんによる症状の緩和をめざすことも大事な目的の治療です。放射線治療の対象のうち、約半分がこれにあたります。骨転移に対する除痛、脳転移に対する神経症状緩和などは特に有効です


放射線治療の種類

・外部照射
放射線治療の主体で、ライナック(リニアック)という機器で発生させた放射線を体外から照射します。主としてX線を用いますが、体表に近い浅在性の腫瘍には電子線を用いることもあります。当院ではライナック2台により治療を行っています。また、近年、技術の進歩で、限局したがんに対して、病変部のごく狭い領域に選択的に多方向かから照射を集中させる高精度照射が行われるようになりました。この方法は局所の線量を安全に増加させることが可能で、脳、頭頸部、肺、前立腺がんなどの治療成績向上に寄与しています。当院でもこれが可能な機器を近いうちに導入予定でいます。


・近接照射(小線源治療)
放射性同位元素(RI)を小さな管、針、点状の線源に加工し、がんの内部、あるいは近傍に配置し、限局した範囲に高線量を安全に集中させる方法で、RIから発生するγ線が照射されます。管腔内に支持器を設置してから線源を配置する腔内照射と、直接がん組織内に配置する組織内照射に分けられます。当院ではイリジウムというRI線源を用い、主として子宮癌に対する腔内照射を行っています。


◎放射線治療のがん治療への寄与
現在、日本では年間約13万人が放射線治療を受けていますが、これは全てのがん患者さんの4人に1人がこの受けていることになります。さらに10年後にはこの割合は約半数に達するといわれています。放射線治療の担当者としては、この予想される状況に応えるため、さらに安全に治療が遂行できる体制を整えるべく努力しています。

(文責:五味弘道)


取り扱っている主な疾患

頭頚部がん、肺がん、乳がん、婦人科がん、前立腺がんなどの各種固形腫瘍、転移性骨腫瘍、脳腫瘍など