学協会情報化連絡会議

本ホームページの趣旨

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 名和小太郎は名著『学術情報と知的所有権』1)の中で、倉田敬子2)に従って、学会のとりうる著作権政策として、次の3つの選択肢を挙げています。

(1) 学術情報をすべて公的領域に置く。
(2) 学術情報の流通を市場原理に委せる。
(3) 学術情報にたいして独自の制度を設ける。

そして、名和は「学会は第2の政策を採らざるを得ないだろう」としています。「なぜならば、現在、市場原理が全世界的に強化されており、学会はその中に巻きこまれざるをえないからである。」

 一方、学術情報は、やはり名和が提示したマートンの古典的描像によれば、

累積性、共有性、公開性、先取権性

という特性をもち、いずれも、著作権制度になじみにくいあるいは大きく係わる理念で形作られています。これが市場原理に巻きこまれているのが現在の学術情報の姿です。

 本ホームページの焦点は、学協会が図らずも巻きこまれはじめた、とくに、機関誌のインターネット上での公開という点にあります。そして各学協会・情報部門担当委員らを中心としてメーリングリストを開設し、互いの情報交換を行い、学協会の政策に反映できることや、逆に理想的には学協会側からあるべき姿を浮かび上がらせることができればと考えます。

1)名和小太郎 (2002) 『学術情報と知的所有権−オーサシップの市場化と電子化−』 東大出版会.
2)倉田敬子 (1998) 『電子情報環境における学術流通と著作権』 慶應義塾大学学事振興資金研究報告書.pp.17-29.

学協会情報化連絡会議ML
ワーキンググループ
世話人:高井憲治


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