研究要旨:再発性多発軟骨炎(relapsing polychondritis、以下RP)は、全身の軟骨に炎症を来たしうる原因不明の難治性疾患である。本邦における患者数は500人程度と推察され、疫学・病態研究が端緒についたばかりであり、診断・治療指針は未確立である。
本研究では平成21~23年厚生労働科学研究費補助金難治性疾患克服研究事業[課題名:疾患の診断及び治療方法の更なる推進に関する研究]における疫学調査を行い本邦の患者実態(有病率、初発年齢、性差、臨床像、予後)に加えて、免疫抑制剤や生物学的製剤等の治療薬の有効性に関して新知見を得た。それらをもとに、簡易で詳細な患者登録・追跡システムの作製を目的に、患者登録リストを作成した。 同時に、平成24年度厚生労働科学研究費補助金難治性疾患克服研究事業「患者支援団体等が主体的に難病研究支援を実施するための体制構築に向けた研究(JPA研究班)」の分担研究を担当しそのモデル疾患として、患者レジストリの構築に向けた収集項目に関する予備的調査を行った。
さらに、新規治療薬開発や治療薬選択基準の策定を見据えた病態解明を目的として、患者検体の収集・保存体制を構築し、RP患者血清の網羅的解析から、単球・骨髄系細胞由来因子(TREM-1)の上昇を報告した。
今後は、本年度の研究成果を基盤として、患者会と連携して患者登録ウェブサイトを構築をさらに本格化させていく。