本教室について

入局をお考えの方へのスタッフからのメッセージ

梶川 明義 教授

 私は新潟大学を卒業後、形成外科医を志し、新潟大学、東京大学、福島県立医科大学などで研鑽を積み、2013年4月より聖マリアンナ医科大学形成外科学教室の教授に就任しました。私の最も得意とする手術は、マイクロサージャリー、ティシュー・エキスパンダーなどを駆使した頭頸部再建や乳房再建ですが、そのほか、顔面、四肢、体幹の先天異常、顔面外傷や瘢痕の手術など、広く形成外科全般の診療を行って来ました。
 私は座右の銘でもある「自他相愛」の精神で患者の立場に立ち、形成外科医として常に全力で努力することをモットーとしています。患者さんのためには、どんなに疲れていても、診療で手を抜くことはありません。しかし同時に、「楽しくなければ形成外科じゃない」というポリシーもあります。形成外科は、医療の中では珍しく、患者さんのために新しいことを作り出すことができる科です。新しい手術を考え、実施することも多く、それはとても楽しいことです。私はこれまで、眉毛の再建術、眼窩・眼瞼の再建術、外鼻・口唇の再建術、口角の形成術、耳介の形成術、乳房の再建術、臍の形成術、足趾の形成術など、多くの新しい術式を考案し、国内外の学会で発表して来ました。新しい手術で、変形に苦しむ患者さんをきれいにすることができ、感謝された時は、無上の喜びを感じることができます。こんなに楽しく仕事ができる形成外科医は、医師の中でも特に幸せな職業ではないかと考えています。
 これからも若い教室員たちと力を合わせて、患者の皆さんが幸せに生活できるように、全力で頑張って行きたいと思います。
 

相原 正記 准教授

 開業医の3代目で長男である私は、生まれた時から家業を継ぐように周囲から期待されて育ちました。そのため、家業以外の科に興味を持たず淡々と授業を受けるような学生でした。ところが、形成外科の授業で、とくにマイクロサージャリーに強く惹かれ石田教授(当講座2代目教授)に相談したことを昨日のように覚えています。BSL(ベッドサイドラーニング、いわゆるポリクリ)でも自分にぴったりの科と感じ、最終的には家業を継がずに形成外科を選びました。開業志向の私でしたが、未だに大学に残っていることを不思議に感じています。
 若いころは手術が好きで猛進しておりましたが、現在は後輩の指導に重点を置いております。基本的には若い術者にデザインを考えてもらいますが、形成外科30年の経験から得られたいろいろなヒントを与えてより良いデザインを導き出すことに喜びを感じています。
 当講座の宣伝をしますと、乳房再建の件数が多く他の手術も充実しています。しかし、何といっても再生医療とくに培養表皮移植が有名です。熊谷名誉教授により本邦で最初に培養表皮移植に成功し多数の症例を施行してきました。平成24年4月からは、私、相原をリーダーとして培養表皮移植を行っています。リーダーが変わり、基本的に自費(保険適応のある広範囲熱傷以外)としているため、少し減少しましたが、依然として約7割程度の症例数を行っております。当院の培養表皮移植例では自費というものの、培養表皮作成費はほぼ原材料費という体制を取っています。しかし、先天性巨大色素性母斑、白斑など病気で苦しむ患者さんから多額の金銭的な負担を強いるのは心苦しく思っています。多くの患者さんが、自費ということで施術を断念されている現状から、早期の保険適応を望んでいます。
 また、若い皆さんの参加も大いに期待しています。
 

幹細胞再生医学(angfa寄付)講座 井上 肇 特任教授

 私は、恐らく日本では唯一の形成外科に在籍する薬剤師だと思います。1987年1月に入局以来、既に28年形成外科で再生医療の実用化研究に従事しています。余り知られていませんが、当講座は国内では初の培養表皮移植術を実用化する事に成功し、以後先代の熊谷教授と二人三脚で25年間、小職が培養表皮を作成し熊谷教授が移植をすると言うコンビを組んできました。現在は、梶川教授に代替わりしましたが、相原准教授と共に新たなコンビ結成で、培養表皮移植を継続しています。
 興味は、未来の夢の医療技術ではなくて、直ぐに実用化できる再生医療技術です。ですから現在再生医療で主流の、ES細胞やiPS細胞には目もくれず、今そこにある技術の組み合わせによる、現実的再生医療の実用化の研究に明け暮れています。多血小板血漿による組織再生技術もその典型で、厚生労働省の先進医療技術として承認され、新たな再生医療技術として当院の難治性皮膚潰瘍治療技術のオプションとして、定着しました。
 再生医療技術の臨床応用と実用化と言う点で内外に認められている本学ですが、こういった研究開発が出来る本学ならびに形成外科医局の基本スタンスは『自由』にあるのでしょう。実用化と言う目標で互いが一致し医師や薬剤師のみならず余り好きな言葉ではないですがPhDが自由な発想、自由な研究のもとで議論を交わし、実践出来るところが大きな強みなのではないでしょうか?
 是非、現実的再生医療技術の実用化研究に興味のある皆様のお力添えを期待しています。
 

阿藤 晃一 助教

 私は、2001年に当教室へ入局しました。入局後は、先輩医師達の手厚い指導のもと、外傷、先天奇形、腫瘍切除や瘢痕修正といった症例を数多く経験することができました。
 形成外科は、施設によって専門性が出てしまい症例が偏ってしまうことがありますが、当教室では近隣の診療所・クリニックからの紹介もあり、色々な症例を経験できると思います。経験を積み重ねて段々と技術が向上し、患者さんからお礼の言葉を頂いたときは、この上ない喜びを感じることができます。
 当教室はとてもアットホームで、働きやすい職場です。興味のある方はぜひ見学にいらして下さい。そして、一緒に楽しく働きましょう。
 

菅谷 文人 助教


自作のヘッドライトで手術に臨む。無いものも創る。それが形成外科。

 聖マリアンナ医科大学卒 

形成外科専門医 臨床研修指導医 VHO巻き爪矯正認定医

  幼少時から、ものを作ることが大好きで、BSLの雰囲気から、消化器外科、整形外科、形成外科のどれかに進もうと思いました。医師になったと同時に結婚し、研修医の2年が終わり、どの科に進むのか決めかねていたところに、丁度長女が産まれました。それからは、医師としての自分だけではなく、父としての自分の役割を考えるようになったのです。研修の際に、急変や、緊急呼び出しが少なかったのは形成外科だったのも、入局を決める要素となったと思います。あれから10年経過して、いろいろなことを経験し、形成外科の奥深さの一端を知るとともに、その大変さと面白さを味わうことができました。特に、自分でこのように工夫したらどうかと提案し、計画を立て、手術をしてうまくいった時の気持ちのよさは、なにものにもかえがたいものだと思います。今では三人の育児に休日を全て使うことができ、趣味のロードバイクは通勤中にしか乗れませんが、未練は全くありません。


形成外科へ入局するかどうか迷っているあなたへ
 ものを作る楽しさは、人間の根源的な喜びにつながっていると思います。たとえ、不器用だとしても、そんなことはそれほど重要ではありません。どうせ働くなら、楽しい方が良いと思っているあなた。ぜひ、一緒にこの楽しさを分かち合いましょう。


どの形成外科へ入局するか迷っているあなたへ
 当科では、乳房再建、培養表皮、多血小板血漿(PRP)等の再生医療、マイクロサージャリー先天性疾患、熱傷はもちろん、巻き爪のワイヤー矯正まで幅広く取り組んでおります。症例も豊富で、自分に何が向いているか、何を専門としていくかを決める環境として最高だと思います。アットホームな雰囲気の中で、共に形成外科医として成長していきましょう。
 

林 京子 助教

 医師10年目です。完全な指導体制のもと8年間聖マリアンナ医科大学で医療を続け専門医も取得いたしました。現在、当科は女性医師は一人ですが、今後も女性医師希望の方のニーズにこたえられるように精進してまいりたいと思います。

 また大学病院では、珍しく女性医師に対する理解のある医局です。大変、居心地が良く医局員全員が家族のように助け合い診療をしております。形成外科医を目指す若い女性にも偽りなく、勧めれる職場だと思います。一緒に精進し仕事をできる仲間を募集しております。興味のある方は気兼ねなく医局見学に来ていただき質問していただければと思います。 

舘下 亨 助教

 人はパンのみにて生くるものに非ず(新約聖書「マタイ伝」第4章から)という言葉を教えていただいたことがあります。それは物質的な満足のみではなく、精神的な満足も人生においては重要だということを意味しているものだと思います。
 医療において、最重要なこととしては命に関わる事柄が挙げられます。しかし、命に関わらないことが必ずしも下に位置づけられるものでもないと考えます。傷がひきつれる、瞼がしっかり開きにくい、目立つ部分にあざがあるなど、我慢はできるけどもできれば改善したい所ではあるでしょう。
 さらに、どんなに健康で優秀な人にも(だからこそ)それらを失うリスクはつきまといます。それが小さい物であっても、元々持っている物を失う喪失感はいかほどかと想像に難くないでしょう。形成外科において、失った組織を完全に元通りにすることは時間を戻せないのと一緒で不可能ですが、元通りに近づけることは可能と思われます。たとえば遊離空腸移植による咽頭再建や乳がん患者の乳房再建などは広く世間に知られていますが、われわれも患者さんの満足を得られるように梶川明義教授のもとで日々精進しているところであります。
 形成外科は日本において1975年に医療法による一般標榜科として正式に認められることになった外科で、歴史的には若い分野といわれるかもしれません。しかし、昨今、形成外科領域の進歩も目覚ましい物があり、とくに聖マリアンナ医科大学形成外科としては培養表皮や多血小板血漿を用いた創傷治療など国内においてもトップランナーであることは周知のことでありとても誇らしいことであります。
 臨床的にも基礎研究的においてもたいへん充実した講座であることを実感していますが、更なる発展のためにも若い研修医の先生や医学生の方々に形成外科の魅力を少しでも知っていただければ幸いであると考えております。
 

関 征央 助教

 私は2014年の4月から、こちらの医局でお世話になっています。もともと在籍している医局の方針で、他大学の形成外科医局や多くの病院で、それぞれ専門的分野を学ばせて頂きました。念願がかない、本年度から当医局で勤務させて頂いております。
 聖マリアンナ医科大学形成外科では、その特色の1つである乳房再建のみならず、さまざまな形成外科領域の患者さんがこられます。関東では、良くも悪くもそれぞれの大学の特色・専門性が強いこともあり、患者さんの分布すら専門的になりがちで、幅広い研修が困難な施設が多いことが形成外科の抱える問題と認識しております。そのため、多くの施設で学ぶことが必要と考えてきました。当科の特徴は、医局設立41周年というその長い歴史から、それぞれの分野に精通している専門家がおり、どの領域の患者さんであっても質の高い、高度な治療が受けられることにあると思います。すべての領域で最高の結果を出すということは、膨大な分野に細分化される形成外科では困難なことですが、当科はそのような実状の中で、稀有な医局といえるでしょう。
 私は当大学の卒業生ではないため、医局の雰囲気に馴染めるのか、当初は少し不安な面もありましたが、実に1ヶ月もたたないうちに、すっかりホームになりました。医局の方々全員がアットホームで、大変働きやすい職場です。当大学の卒業生はもちろんですが、他大学出身の先生にこそお勧めしたい医局です。
 医局にはラボが併設され、基礎研究も盛んで、日本で唯一、培養表皮を医局のラボで培養し、即座に臨床応用が行える施設でもあります。研究に興味を持たれている先生にも、是非一度見学に来て頂きたいと思います。
 医局にはマイクロサージャリー練習用の顕微鏡が2台あり、いつでも血管吻合の練習が行え、学生のマイクロサージャリー実習にも力を入れております。マイクロサージャリーの手技獲得には、少なからず努力が必要ですが、当科の練習環境は抜群であり、人工血管→鶏肉の血管→ラットでの実際の血管吻合、と新入局の先生でもすぐに臨床応用へ生かせるレベルまでの技術習得を、サポートします。
 形成外科に興味を持たれている研修医の先生方・学生のみなさん、是非一度見学だけでも大歓迎ですので、気軽にお越しください。一緒に楽しく働きましょう。
 

平井 林太郎 助教

 形成外科という科は、一般の方々には比較的なじみの薄い科であるかもしれません。その特色は、「体表(=体の表面)の外科」という点だと考えます。つま先から頭のてっぺんまで、表面にまつわる外科的な問題は全て守備範囲と言ってよいと思います。また表面の治療のために、その下で土台となる筋肉や骨を取り扱うこともしばしばです。
 誰にもいつでもケガやヤケドといった問題は起こり得ますし、先天異常や後天的な変化も見て分かってしまうものは症状の軽重によらずより気になるものだと思います。その意味で表面のトラブルというのは内側の問題以上に身近なものであり、その解決を目指す形成外科は「日常生活の隣にある実に身近な科」と言えるのではないでしょうか。
 一方、日常的に接する物や見慣れた物のことの方が実はきちんと分かっていない、というのも良くあることだと思います。そしてそういった部分に不具合が起こると、とても大きな不便と不安を生じます。それが健康のことであれば尚更です。形成外科医としてその不安を取り除けるよう、分かりやすい医療を提供することを目標に日々の診療に当たっております。
 当院は大学病院であり、教育機関でもあります。表面を切らない手術はありませんので、全ての外科の基本の「き」が形成外科には含まれますが、これまたごく基本的なことほど成書にもきちんと書かれていなかったりします。進路としての形成外科に興味のある方は勿論のこと、外科系を志される全ての研修医の先生方や学生の方に是非お越しいただき、若輩ながら少しでも経験をお伝えできれば幸甚に存じます。