平成22年 9月01日現在
統合失調症は思春期から青年期に発症することが多く、長期間の治療が必要な慢性疾患です。生涯発病率は約0.85% (120人に1人) で、比較的頻度の高い病気といえます。代表的な症状としては、1.陽性症状(存在しない人の声が聞こえる幻聴や、事実ではないことを確信してしまうといった妄想など)、2.陰性症状(意欲がわかなくなり、喜怒哀楽の感情が少なくなって自宅に引きこもってしまうなど)、3.認知機能障害(注意力、集中力や記憶力が低下し、今まで出来ていた仕事や課題ができなくなるなど)、4.感情障害(憂うつな気分や不安・イライラが強まり死にたくなるなど)があります。
統合失調症の病因は現在も不明ですが、脳内の情報伝達を行う神経伝達物質のひとつであるドパミンのバランスがうまくいかないためであるという仮説が有力です。このため治療はドパミンの神経伝達を調整する薬物療法が最も重要です。薬物療法は、以前はハロペリドールを代表とする第一世代抗精神病薬が中心でしたが、現在は錐体外路症状(手の震えや体のこわばりなど)や眠気などの副作用が少ない第二世代抗精神病薬が第一選択となっています。現在も次々に新しい新薬や剤形が開発されており、幻覚や妄想を消失させるだけでなく、治療本来のゴールである病前の機能回復、すなわち社会復帰により近づくことが可能になりつつあります。しかしながら、薬物治療が中断したり適切に行われなかったりすると、再発や再燃を繰り返しながら徐々に病態が進行して、社会的・職業的機能が低下していく可能性があるため、早期から適切な治療的介入を開始しそれを継続する必要があります。
統合失調症治療センターでは、神経精神科外来において本疾患の臨床研究を行うとともに、当事者の生活の質の向上と社会復帰をゴールとして、合理的で有効性の高い薬物療法の普及に努めています。また発症の可能性の高い方(ご家族がすでにこの病気を発病されている方など)や、弱い陽性症状が出現し始めている方などを対象として、早期の鑑別診断や心理社会的支援と薬物療法などの早期介入に取り組み、本疾患の予防につなげる新しいプロジェクトを平成20年4月より始めました。当センターでは患者さんやご家族と我々との“出会いを大切にする”という思いをこめて、このプロジェクトをMEET (Marianna Early detection and Early Treatment)と名付け、発症の予防や遅延とともに、患者さんの生活の質の改善と機能向上に努めていきたいと思っています。
| 職名 | 職種 | 氏名 | 専門分野(資格)・担当分野 |
|---|---|---|---|
| センター長(准教授) | 医師 | 宮本 聖也 | 統合失調症、精神薬理学 |
| 副センター長(教授) | 医師 | 山口 登 | 統合失調症、精神薬理学 |
| 医長(講師) | 医師 | 宇田川 至 | 統合失調症、精神薬理学 |
| 登録医 | 医師 | 荻野 信 | 統合失調症、精神薬理学 |
| 登録医 | 医師 | 北島 麗 | 統合失調症、精神薬理学 |
| 登録医 | 医師 | 天神 朋美 | 統合失調症、精神薬理学 |
| 登録医(臨床教授) | 医師 | 高木 博敬 | 統合失調症、精神薬理学 |
| 登録医(非常勤講師) | 医師 | 諸川由実代 | 統合失調症、精神薬理学 |
| 登録医(非常勤講師) | 医師 | 柳田 浩 | 統合失調症、精神薬理学 |
| 診療技術員 | 臨床心理士 | 穴井己理子 | 統合失調症、精神療法、心理検査 |
| 診療技術員 | 臨床心理士 | 伊藤 幸恵 | 統合失調症、精神療法、心理検査 |
| 診療技術員 | 臨床心理士 | 塚原さち子 | 統合失調症、精神療法、心理検査 |
| 診療技術員 | 臨床心理士 | 田所 正典 | 統合失調症、精神療法、心理検査 |
| 診療技術員 | 臨床心理士 | 小島 綾子 | 統合失調症、精神療法、心理検査 |
| 診療技術員 | 臨床心理士 | 寺本 晴樹 | 統合失調症、精神療法、心理検査 |
| 診療技術員 | 臨床心理士 | 荒井 淳 | 統合失調症、精神療法、心理検査 |
| 診療技術員 | 臨床心理士 | 熊田 知佳 | 統合失調症、精神療法、心理検査 |
| 診療技術員 | 臨床心理士 | 山田 一子 | 統合失調症、精神療法、心理検査 |
| 業務名称 |
統合失調症治療センター |
|---|---|
| 業務内容 |
神経精神科一般外来および特殊外来において、統合失調症患者の機能回復と社会復帰をゴールとして、合理的な薬物療法を目指した取り組みを行っている。また治験や市販後臨床試験を行い、新規抗精神病薬の迅速な開発と抗精神病薬のより適正な使用法の確立に寄与する。さらに発症リスクの高い方や、弱い陽性症状が出現し始めている方などを対象として、早期の鑑別診断と早期介入に取り組み、本疾患の予防につなげる活動を行っている。 |
| 受付方法 | 当センター職員が外来を担当している平日午前に、神経精神科一般外来を受診して下さい。その際、当センター担当医希望と申し込んで下さい。 |
| 受付時間 | 初診は平日9:00~11:00 |
| 担当科 | 神経精神科 |
(1) 統合失調症の認知機能障害に対する新規抗精神病薬の効果の研究
(2) 新規抗精神病薬治療に対する統合失調症患者の主観的評価の研究
(3) 抗精神病薬に長期併用投与された抗コリン薬の減量中止が,統合失調症患者の認知機能とQOLに及ぼす影響の研究
(4) 抗精神病薬に長期併用投与されたベンゾジアゼピン系抗不安薬の減量中止が,統合失調症患者の認知機能とQOLに及ぼす影響の研究
(5) 統合失調症の早期診断におけるロールシャッハテストと認知機能検査の有用性に関する研究
(6) 精神病発症危険状態 (At Risk Mental State: ARMS)に対する早期介入の効果に関する研究
