キービジュアル

ハイブリッド心臓大動脈治療センター

ハイブリッド心臓大動脈治療センター

ご挨拶

宮入 剛(教授)

センター長

西巻 博(教授)

当院では2015年よりハイブリッド手術室の稼働を開始し、手術需要の高まりから現在では2室有しております。ハイブリッドとは、広辞苑によると「異種のものを組み合わせたもの」とあり、ハイブリッド心臓大動脈センターは、高性能な血管造影装置を用いた血管内治療と従来の手術を組み合わせた高度な治療を行っており、従来の手術のみの治療法に比較して、より低侵襲でより安全な治療を目指した治療法です。治療の計画段階より呼吸器内科、循環器内科、心臓血管外科、放射線診断・IVR科、麻酔科、小児科などの関係各科、さらに看護部臨床工学技術部診療放射線技術部、薬剤部など関係各部署が、密に協力して治療に当たっております。各部門が連携して、病気のみならず人も診る、質の高い治療を行っています。


 ハイブリッド手術室

1. 中枢気道狭窄病変に対する気道拡張術

適応疾患:良性・悪性腫瘍による気管支腫瘍、良性疾患による気道狭窄(挿管後気管狭窄、気管支結核、気管支軟化症など)
概要
高度気道狭窄症例に対する内視鏡的気管支拡張術および気道ステント留置術は麻酔科、救命科、呼吸器外科と連携し呼吸器内科で処置をおこなっています。呼吸器インターベンションのパイオニアである呼吸器内科前主任教授の宮澤輝臣先生の手技を継承し、多くの気道狭窄に処置を行ってきました。
ハイブリッド心臓大動脈治療センターでは、硬性鏡気管支鏡を用いて自発呼吸を残した状態を麻酔科の管理下で行い、非常に状態が不安定な場合はハイブリッド手術室ではECMOが導入下で処置が行える環境が整っています。全国的にも硬性鏡を有している施設は全国調査で8%の施設しかなく、首都圏内では多くの施設から紹介いただいております。中枢気道狭窄症例の診断および治療でお困りの場合はご相談願います。
  
最近の実績:2021年度31件、2022年度50件
呼吸器内科 特設サイト https://www.mariannna-kokyuuki.com/

担当科及び連絡先 呼吸器内科、麻酔科 

2. 大動脈弁狭窄症に対する経カテーテル的大動脈弁置換術(TAVI)

疾患・症状のご紹介 弁膜症
左心室から、全身に血液を送り出す際に通過する大動脈弁が狭窄してしまう大動脈弁狭窄症に対してのカテーテル治療で、開胸することなく弁置換ができる低侵襲治療です。
2016年2月から経カテーテル的大動脈弁置換術(TAVI)の実施施設に認定され、現在は国内での指導施設として治療を行っており、多くの指導医が在籍しております。2023年5月の段階で1000例を超える実績があり、安全に治療を行っております。
 

エドワーズライフサイエンス社より提供

担当科及び連絡先 循環器内科、心臓血管外科、麻酔科、放射線診断・IVR科 

3. 僧帽弁閉鎖不全症に対する経皮的僧帽弁クリップ修復術(Mitral Clip)

疾患・症状のご紹介 弁膜症
左心房から左心室に送り出された血液が閉じていない僧帽弁を逆流し左心房に戻ってきてしまう僧帽弁閉鎖不全症に対してのカテーテル治療です。
MitraClip™を用いた経カテーテル的僧帽弁クリップ修復術で、心臓の動きを止めることなく弁の治療を行うものです。
当院はAbbott Medical JAPAN合同会社に認定された指導施設であり、指導医が常勤しております。


アボットメディカルジャパン合同会社より提供

担当科及び連絡先 循環器内科、心臓血管外科、麻酔科、放射線診断・IVR科

4. 心房中隔欠損症に対する経皮的心房中隔欠損閉鎖術

疾患・症状のご紹介 成人先天性心疾患
心房中隔という右心房と左心房の間を隔てる心筋の壁に孔が開いている状態を心房中隔欠損と言います。先天性心疾患の中では頻度が高く、心房に過度の負担がかかることによって心房細動などの不整脈が生じやすくなったり、下肢の静脈に生じた血栓が心房中隔欠損を通じて体循環へ流入し脳梗塞などの塞栓症を起こしたりします。このため、心房中隔欠損があり心臓への負荷を伴う症例では閉鎖術が必要です。当院では、そのような患者さんに対してのカテーテルでの閉鎖治療を行っております。



アボットメディカルジャパン合同会社より提供

担当科及び連絡先     循環器内科、麻酔科、放射線診断・IVR科、小児科

5. 卵円孔開存症に対する経皮的卵円孔開存閉鎖術

疾患・症状のご紹介 成人先天性心疾患
胎児期に認める卵円孔(心房中隔間の孔)が開いたままの状態のことを卵円孔開存といいます。卵円孔開存は非常に頻度が高いのですが、卵円孔開存があっても身体に悪影響を及ぼしていない患者さんでは治療は不要です。しかし、卵円孔開存を有する患者さんの中には、静脈にできた血栓が卵円孔を通過し脳に達することで脳梗塞や一過性脳虚血発作を引き起こすと考えられており、これを奇異性塞栓といいます。その他に、卵円孔開存は片頭痛、潜水病などとの関連も認められています。当院では、そのような患者さんに対してのカテーテルでの閉鎖治療を行っております。


アボットメディカルジャパン合同会社より提供

担当科及び連絡先

循環器内科、麻酔科、放射線診断・IVR科、脳神経内科

6. 心房細動に対する経皮的左心耳閉鎖術

心房細動などの不整脈は、脳梗塞の原因となります。脳梗塞に至る血栓は心臓内の左心耳という構造物に主に出来ると言われています。そのリスクを低減するために血を固まりにくくする抗凝固薬(ワーファリン、プラザキサ、イグザレルト、エリキュース、リクシアナ)が大半の方で用いられますが、出血リスクが高く内服が困難である患者さんもいらっしゃいます。当院では、その血栓ができる左心耳をカテーテル治療で閉鎖し、脳梗塞のリスクを低減し、かつ抗凝固薬(ワーファリン、プラザキサ、イグザレルト、エリキュース、リクシアナ)の中止も行っております。


ボストン・サイエンティフィック社より提供

担当科及び連絡先

循環器内科、麻酔科、放射線診断・IVR科、脳神経内科 

7. 不整脈に対するペースメーカー植込み手術

ペースメーカー植え込み術
高度徐脈(洞不全症候群、房室ブロックなど)による症状が出現されている患者さんに対してのペースメーカー植え込み術を行っております。患者さんに合わせて、血管内に電極リードをおく経静脈でのペースメーカー植え込み術のみならず、カプセルタイプのリードレスペースメーカー植え込み術も行っております。

植え込み型除細動器付きペースメーカー/両心室ペースメーカー植え込み術
特に低心機能の患者さんにおいては、致死的不整脈による突然死のリスクが高いと言われております。当院では、そのような患者さんの突然死を予防するための植え込み型除細動器付きペースメーカーの植え込みが可能です。また、心電図の特徴を見て、心収縮能の改善を期待できる両心室ペースメーカー植え込みも行っております。

担当科及び連絡先

循環器内科、麻酔科、放射線診断・IVR科

8. 胸部大動脈瘤に対する胸部大動脈ステントグラフト内挿術(TEVAR)

心臓血管外科 ステントグラフト
金属の鋳型の付いた人工血管を瘤のできた血管の中に挿入することによって破裂を予防します。 ハイブリッド心臓大動脈治療センターにおいて、腹部大動脈瘤ならびに胸部大動脈瘤に対する正確で安全なステントグラフト治療を日夜行っております。

広範囲胸部大動脈瘤に対する上行弓部置換+2期的TEVAR


頚部分枝バイパス併用胸部大動脈ステントグラフト内挿術


担当科及び連絡先

心臓血管外科、麻酔科、放射線診断・IVR科 

9. 腹部大動脈瘤に対する腹部大動脈ステントグラフト内挿術(EVAR)

心臓血管外科 ステントグラフト
金属の鋳型の付いた人工血管を瘤のできた血管の中に挿入することによって破裂を予防します。 ハイブリッド心臓大動脈治療センターにおいて、腹部大動脈瘤ならびに胸部大動脈瘤に対する正確で安全なステントグラフト治療を日夜行っております。

担当科及び連絡先

心臓血管外科、麻酔科、放射線診断・IVR科 

10. 急性・亜急性スタンフォードB型大動脈解離に対する胸部大動脈ステントグラフト内挿術(TEVAR)

心臓血管外科 ステントグラフト
金属の鋳型の付いた人工血管を瘤のできた血管の中に挿入することによって破裂を予防します。 ハイブリッド心臓大動脈治療センターにおいて、腹部大動脈瘤ならびに胸部大動脈瘤に対する正確で安全なステントグラフト治療を日夜行っております。

担当科及び連絡先

心臓血管外科、麻酔科、放射線診断・IVR科 

11. 解離性大動脈瘤に対するステントグラフト内挿術及びリエントリー閉鎖術

心臓血管外科 ステントグラフト
金属の鋳型の付いた人工血管を瘤のできた血管の中に挿入することによって破裂を予防します。 ハイブリッド心臓大動脈治療センターにおいて、腹部大動脈瘤ならびに胸部大動脈瘤に対する正確で安全なステントグラフト治療を日夜行っております。

Candy-Plug法による偽腔血流の制御


担当科及び連絡先

心臓血管外科、麻酔科、放射線診断・IVR科 

12. 腹部大動脈ステントグラフト内挿術(EVAR)のエンドリークに対するカテーテル治療

大動脈瘤に対するステントグラフト治療は、開胸や開腹を必要とせず身体に負担の少ない治療法です。しかし、ときに術後に瘤内への血液漏れ(エンドリーク)を生じ、瘤が再び大きくなってくることがあります。このような症例に対して、当院では超音波検査や造影CT・MRI、血管造影などの精密検査を行って、エンドリークの部位・種類を診断し、その多くに対してカテーテルによる追加治療を積極的に行っています。エンドリークに対する追加治療は複雑になることもありますが、心臓血管外科、放射線科によるチームで診療にあたり良好な成績が得られています。また、他院でステントグラフトによる治療を受け、その後にエンドリークによる追加治療が必要となった患者さんも多くご紹介いただいており、同様に血管内治療を積極的に行っています。エンドリークにお困りの際はご相談下さい。

担当科及び連絡先

心臓血管外科、麻酔科、放射線診断・IVR科 

13. 慢性下肢動脈閉塞に対するバイパス術・内膜形成術併施ハイブリッドカテーテル治療

適応疾患:下肢閉塞性硬化症 急性動脈塞栓症
概要
下肢閉塞性動脈硬化症に対する血行再建方法は、多岐に渡ります。当施設では、解剖学的条件を第一に血管内治療(経皮的血管形成術、薬剤溶出性ステントetc.)と直達手術(人工血管及び自家静脈を用いたバイパス手術)を併用して治療を行っています。

担当科及び連絡先

心臓血管外科、循環器内科、麻酔科、放射線診断・IVR科

ハイブリッド心臓動脈治療センター協力部門について

診療放射線技術部 診療放射線技師スタッフ

当院は、循環器領域の高度専門医療機関であり、診断・治療に最新の医療技術を利用した高性能装置を導入し、最高の技術レベルを維持しています。近年、経皮的大動脈ステント内挿術(TEVAR、EVAR)、経皮的大動脈弁置換術(TAVI)、経皮的僧帽弁クリップ修復、経皮的心房中隔欠損閉鎖術などの手技ではX線透視と心臓超音波を併用した手術が発展し、当院でも全国トップレベルの症例数が実施されるようになりました。
新病院では、X線透視と心臓超音波がフュージョン出来るシステムが設置され、これまで以上に安全かつ迅速に手技を行うことができるようになりました。またHybrid ORは成人だけではなく小児に対する全身麻酔下での経皮的カテーテル治療や、全身麻酔下の気管支ステント挿入術など循環器領域以外の手技にも優れた機能性、操作性、高い安全性の担保ができます。
今後も医療安全面や治療能力の更なる向上をチーム一丸となり目指していきます。



手術・IVRセンター 看護部

 聖マリアンナ医科大学病院 看護部

当院の手術・IVRセンターは2023年1月に新入院棟移転を機会に手術部と血管室が合併しました。手術室20部屋、IVR5部屋を総勢104名の看護師が従事しています。ハイブリッド治療の高度な医療に対応すべく看護体制を整備し、教育と研鑽を重ねています.OR・IVRセンター基本方針である「チーム医療を充実し、安全な手術を提供する」をモットーに日々、各診療科医師、コメディカルと協力しています。

お知らせ

高齢者やリスクの高い患者さんの増加に伴い、ハイブリット手術室を使用した低侵襲な心臓大血管治療の必要性はますます高まるものと予想されます。ハイブリット心臓大動脈治療センターでは、各科の垣根を越えて一丸となって治療に邁進しておりますので、24時間いつでもご連絡ください。

一覧に戻る

診療科・部門のご案内