脂肪肝と慢性肝炎の比較

脂肪肝と慢性肝炎は日常からよく遭遇する疾患であるが、
ともに肝実質エコーが上昇することが超音波所見の一つの為、
他に超音波上の鑑別がないか調べてみました。

脂肪肝とは

組織学的に肝小葉を構成する肝細胞の30%以上に脂肪化が認められる病態。

しかしUSでは10%程度の脂肪沈着から脂肪肝所見をとらえることが出来る。

慢性肝炎とは

門脈域を中心とした肝の炎症が6ヶ月以上続く疾患。
肝炎ウィルスの持続的感染によって生じる。
門脈域にリンパ球を中心とした慢性炎症性細胞の浸潤と繊維化が持続的に見られる。

            肝実質エコーレベルの上昇の比較


脂肪肝
肝腎コントラストの上昇を認める
慢性肝炎
肝腎コントラストの上昇を認める


脂肪肝

脂肪組織は超音波による反射・散乱が強いため肝実質エコー輝度は上昇する。

慢性肝炎

門脈域への炎症細胞の浸潤や門脈域の拡大を伴う繊維化、肝細胞の変性などがあり、

これらによって組織構築が乱れ、肝全体に軽度の超音波の散乱や減衰が生じ、

肝実質エコー輝度が上昇する。

肝内深部エコーの減衰の比較


脂肪肝
エコーの減衰を認める
慢性肝炎
基本的にエコーの減衰は認めない



脂肪肝

脂肪組織は超音波による反射・散乱が強くその下方では超音波が届かず減衰する。

慢性肝炎

エコーの減衰は認めない

脾腫の比較

脂肪肝
脾腫は認めない
慢性肝炎
脾腫が認められる

脂肪肝

脾腫は認めない。

慢性肝炎

脾臓はリンパ網内系組織であるため、
免疫反応を活発にする炎症性疾患が起こるとそれに反応して腫大する。


リンパ節腫大の比較

脂肪肝
基本的に腫大は認めない
慢性肝炎
腫大は認められる場合が多い

リンパ節腫大

脂肪肝

リンパ節腫大は認めない

慢性肝炎

感染症や炎症によってリンパ節が腫脹する発生機序は、
免疫に関与するリンパ球や組織球が増殖する事により腫張する。

慢性肝炎は門脈域への炎症細胞の浸潤を認めるため、門脈域のリンパ節が腫大する。

脂肪肝の超音波所見

・肝実質エコーレベルの上昇

・肝内深部エコーの減衰(deep attenuation

・肝内の脈管の不明瞭化 

・肝腎コントラストの上昇

慢性肝炎の超音波所見

・肝実質エコーレベルの上昇

・肝実質内部エコーの粗雑化

・肝辺縁の鈍化

・肝腫大

・肝門部リンパ節の腫大

・脾腫

脂肪肝と慢性肝炎の超音波所見比較

脂肪肝

慢性肝炎

肝実質エコー輝度

高輝度

高輝度

肝腎コントラスト

上昇

上昇

肝門部リンパ節

腫大

他所見

肝深部でのエコーの減衰

脾腫

脂肪肝の種類

@segmental fatty change

 主に肝静脈を境界として限局性の脂肪浸潤が見られる。

Airregular fatty change

 脂肪が肝全体に均等に分布せず不規則に混在する

Bfocal fatty change

 一部に限局性の脂肪変性が見られる。

Cfocal no fatty change

 限局して低エコーが見られる。低エコー部は正常肝