患者の皆さまへ

放射線科とは

今から100年余り前、ドイツのレントゲン博士が、X線と呼ばれるエネルギーを使うと人体内部の構造が体を開くことなく映し出せることを発見しました。放射線医学とはX線(通称レントゲンと呼ばれています)を手始めに、種々の物理学的エネルギーを人体に照射し、その投影像を様々なコンピュータ技術によって画像化し生体に起こっている病的あるいは生理的現象をリアルタイムに把握し病気の診断から画像をガイドにした治療を考案、実践していく臨床医学の一分野です。


放射線科医は臓器にとらわれることなく患者様を画像という媒体を通して統合的に診療する総合医です。一方この分野は常に技術革新が起こり新たな最先端の低侵襲診断および治療が提供されてきています。我々放射線科医は現代先端医療の質を確保する重大な責務を負っているため常に新しい技術を学んでいます。

現在この領域は大きく画像診断部門と、画像診断技術を駆使して体を開くことなくわずかの傷と麻酔で外科的治療を行うIVR (インターベンショナルラジオロジー)、高エネルギー放射線を人体に照射しIVRと同じように切らずに悪性腫瘍を治す腫瘍放射線(放射線治療)の3部門に分かれています。共通する哲学は、患者さんに出来るだけやさしく、短い時間で、正確な診断治療を行うためにあらゆる先端技術を駆使することです。現在利用している技術は電離放射線だけでなく、人体に起こっている現象をラジオアイソトープという放射性物質をトレーサーとして観察する核医学、音のエネルギーを利用した超音波、磁力などで、それぞれコンピュータ技術の進歩で目覚しい発展を遂げています。


画像診断部門ではmm単位で癌病巣を発見する技術や、病巣の性状や機能を把握する技術が一般化しつつあります。治療部門ではIVRにより多くの外科治療が体を開くことなく治療可能となり、放射線治療もラジオサージェリー(放射線を用いた外科治療)と言われる先端画像技術を用いて、病巣以外の正常組織にダメージとなる放射線がかからないようにピンポイントの標的治療が行われつつあります。

しかし、このような先端技術は患者さんに直接物理学的エネルギーを与えて診療するため、むやみな利用は人体に弊害を与えます。使用する機械の精度管理とともに、その技術も専門性が要求されます。我々放射線科医は、このような先端技術を常に患者さんの側に立ってその安全性を保証し、適切にしていく番人としての役割も担っています。

現代医療の中で画像診断と無関係な診療科はないといっても過言ではありません。そのためわれわれは内科、外科をはじめ全ての臨床各科と密接な連携をとり、診療を行っています。患者様が聖マリアンナ医科大学およびその関連施設のどこの科で診療を受けられても、我々放射線科医が画像診断や先端的治療に関与していますのでご安心ください。

聖マリアンナ医科大学放射線医学教室は、母校の優秀なスタッフと全国から集まった精鋭によって常にわが国をリードする立場で研究教育に携わっています。そのため全国あるいは海外から多くの留学生を迎え、卒後教育に力を入れてきました。大学病院は35年前、米国風のチーム医療の精神(一人の患者さんに多くの専門医、様々な医療スタッフが関与して最も適切な医療を行っていく)をいち早く具現化するために、放射線科医がすべての画像診断に関与できる環境を作りました。一方、院内及び他の医療機関からの紹介患者さんを対象にIVR手術や放射線治療についてご説明し実際に治療に当たっています。最近では必要に応じて入院治療も行っています。治療後も放射線治療とIVRの外来で直接患者さんとお会いしてその後の経過を見させて頂いています。画像診断においても他の診療機関で撮影された画像についてのセカンドオピニオンや種々の画像診断に関するご相談に応じる画像診断外来を開設しています。患者さんによりやさしい医療を提供するため、あらゆる先端技術を使いこなせる専門医である放射線科医の今後にご期待ください。